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知っておきたい税知識"ワイズ" 9月版

2016.09.15

Q当社は、当期利益が予想以上に見込まれるため、その利益圧縮を検討したところ、たまたま期末月が本社事務所の家賃契約更新の時期であったことから、大家さんと交渉し、従来、毎月分を前月末日までの支払とする契約を、今回に限り翌1年分の家賃1,200万円を、契約時一括支払いとする契約を締結して即日支払いし、当期の費用として全額計上しました。

税務処理上何か問題がありますか?

 

税務の取扱いの中には、ご質問にある家賃のように、支払から1年以内に提供を受ける役務に係るもの(この取扱いについては、国税庁HP/質疑応答例/法人税「短期前払費用の取扱いについて」を参照)など、企業会計上の「前払費用」のうち短期間なものについては、同じく企業会計における「重要性の原則」の観点や課税上の弊害の有無の観点などを考慮したうえで、一定の条件の下に支払った日の属する事業年度の損金として認められる特例があります(法人税基本通達2-2-14)。

 この「一定の条件」とは、次①~⑥の通りです。

①一定の契約に従って継続的にその期間中に等質、等量のサービス提供を受けるもの

②役務提供の対価であること

③翌期以降に時の経過に応じて費用化されるもの

④現実にその対価を支払っているもの(手形支払も含む)

⑤支払から1年以内に提供を受ける役務に係るもの

⑥支払った金額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているもの

 

ご質問の場合、そもそも利益圧縮のため、当期限りの措置として期末において、向う1年分の家賃を一括払いしたものであることから、上記⑥の条件にマッチせず、課税上の弊害があると指摘される可能性が高く、当期の損金算入が認められないものと考えます。

ちなみに、H18.11.24の最高裁判決では、形式的には本通達の短期前払費用に該当しても、専ら租税回避目的で自らの利益圧縮のために一括年払いとしたものと認められるときは、「課税上弊害が生じるものと認められるので、本件各費用は重要性の乏しいものとはいえないから、これに本通達後段を適用して損金に算入することはできない」とした地裁の判断が維持された判例も存在します。

すなわち、この通達(法人税基本通達2-2-14)の取扱を悪用して、利益の繰延等を図るために期末に一括で支払う行為も当然に認められませんのでので、くれぐれもご注意ください。

 

監 修: 関東信越税理士会長野支部所属

    金井秀夫 山浦修 藤澤義章 平井幸光 渡邉隆行

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